amamiwatsuki’s diary

過去に書き溜めたシナリオなどをアップしていきます。たまに新作も・・・

私の理由 キヨミ②

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#5  病院 昼

 

    町医者にしては立派な建物の病院「三浦産婦人科」という看板。

    

    診察室ではなく、その奥の院長室的な立派な部屋。

    豪華な応接ソファーにキヨミとミウラがちょこんと並んで腰掛けている。

    向かい合うように、医師が座っている。

    医師は30過ぎ位ので若く、いかにもキレ者っぽい冷たさを漂わせている。

 

医師「───二人とも陽性ですね」

 

    呆然と医師を見る2人。

 

ミウラ「ハハ…まさか……」

 

    医師、無感情な感じで

 

医師「HIVは抗体ができるまでに…つまり検査してハッキリと陽性だとわかる

   までには感染してからだいたい6週から8週かかると言われています。

   つまりそれ以前に関係を持った男性に感染(ウツ)されたと考えるのが

   自然でしょうね。

   ま、一体何人と関係を持ったのかは知りませんがね」

 

    青ざめて俯いているキヨミ。

 

医師「それにそれ以降にキミが関係を持った人間には、キミが感染(ウツ)してる

   可能性もあるわけですけどね…」

ミウラ「オイッ」

 

    医師を咎めるような表情のミウラ。構わず言葉を続ける医師。

 

医師「知ってるかい? エイズに限らずSTDは咥えたり、舐めさせたりする

   だけでも、虫歯1つあれば感染る可能性だってあるんだよ」

 

    耐えかねて部屋を飛び出すキヨミ。

 

ミウラ「オイッ、待てよ! キヨミッ!」

 

    ミウラ、厳しい表情で医師を見て

 

ミウラ「─ったく、言い方ってもんがあるんじゃねえの?」

医師「……自業自得とはいえ、弟にエイズを感染されてるんだ…

   キツイ言い方にもなるさ」

ミウラ「へッ、そんなに弟想いの兄貴だとは知らなかったよ」

医師「………。どうする? 医者としては投薬治療を進めるし、なんなら

   専門医に紹介状も出すぞ……」

 

    無言で医師を見るミウラ。皮肉っぽく微笑んで

 

ミウラ「本音は医者の身内からエイズ患者が出たなんて知られたくないんじゃ

    ねえの?」

医師「………」

    

    部屋を出ていこうとするミウラ。思い出したように振り返り

 

ミウラ「あ、親父には…」

 

    医師、振り返らずに了解の意味で片手をヒラヒラさせる。

    寂しげに微笑を浮かべ出ていくミウラ。

 

#6  ファーストフード店 昼。

 

    ハンバーガーショップの一角にミウラとキヨミが向かい合って座っている。

    ミウラはハンバーガーを頬張っている。キヨミの方は相変わらず元気がない。

    ミウラ、そんなキヨミを見ながら、モゴモゴと

 

ミウラ「──な~んかさ~」

 

    ミウラを見るキヨミ。

 

ミウラ「いきなりエイズとか言われてもピンとこねえよなぁ…こんなふうに

    腹だって普通に減るし…」

キヨミ「…………」

ミウラ「ところでお前、ホントに心当たりねえの? そうだ、アイツは? 

    ホラッ、何度か続けて来てたオタクっぽい客。

    本アカ教えろってつきまとわれてるって言ってたじゃん。

    そういや最近まったく来てないし…」

 

    キヨミ、思い出したようにハッとして、あわてて

 

キヨミ「アイツって事は無いよ。絶対!」

ミウラ「なんで?」

キヨミ「だ、だって…」

 

#7  カラオケボックス(回想)

 

    カラオケBOXの一室。室内にはリクエスト曲の伴奏が流れ

    モニター画面にはアニメの映像と歌詞がむなしく流れている。

    その映像に合わせるかのようにあえぎ声が聞こえる。

    モニターの足元のソファに制服姿のキヨミがひざをM字に立てた

    状態で座り、その足首にはパンティがからまっている。

    股のところには、オタクっぽい男がキヨミのアソコをのぞき込み

    ながら床に正座して自慰行為をしている。

    感じているキヨミの表情

 

キヨミ「アッ…ぜ、絶対その指以外入れたらダメなんだからね…アンッ」

 

    キヨミのアソコに男の左手の人差し指が入れられている。

    が、男の手には手術用のピタッとしたゴム手袋がはめられている。

    いまにもイキそうな男の表情。

 

男「わ、わ、わかってるよ…だ、だからまた会ってくれるよね…ウッ…イック…」

 

#8  ファーストフード店(#6直結)

 

    あきれた表情でキヨミを見るミウラ。

 

ミウラ「………それでいくらもらってたんだよ?」

キヨミ「……さ、3万」

ミウラ「俺に内緒で?」

キヨミ「う…」

 

    ミウラ、キヨミから視線を外し、タバコに火をつけながら

 

ミウラ「いいけどね…いまさら」

 

    ミウラ、まわりに座る、

    けっして美男美女とは言えない、数組の仲睦まじい恋人たちを見ながら

 

ミウラ「そうやってブ男は長生きするんだろうなぁ」

 

    落ち込んだ様子でうつむいていたキヨミ。

 

キヨミ「なんか……」

 

    突然顔を上げ、ミウラを見て大声で

 

キヨミ「なんか超ムカついてきた! 決めた! 絶対見つけてやる! 絶対!!」

 

    ポカンとした表情でキヨミたちを見る、まわりの客たち。

 

                                つづく

 

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